野生化した庭園の楽しみ
半野生の庭のある家に引っ越したステファニー・ボクセルは、圧倒された。しかし、自然界が直面している危機を知り、彼女は野生を受け入れ、そこに喜びを見出すことを学んだ。
翻訳・校正:沓名 輝政
数年前、私たちはハンカチほどの庭のある1930年代のセミ・デタッチド・ハウス[中心の壁を共有する左右対称な二世帯住宅]から、広大な敷地のある古い家に引っ越した。まず魅了されたのは、傾斜した芝生、花壇、野菜畑、急勾配の林のある土手など。その庭は魔法のようだった。夜には外に出て、星の数と明瞭さに驚き、昼間は、新しい環境を探検して興奮する幼い子供のような喜びで、木々の生い茂る荒野を駆け回った。
この無邪気さは長くは続かなかった。やがて私は、庭が私たちには手に負えないことに気づき始めた。外でいくら時間をかけても、ヒメウツギやワラビの上に立つことはできず、私は意気消沈した。私たちは樹木医を見つけ、その樹木医がいくつかの木の高さを低くし、ハシバミを編んだ「バスケット状に」積み重ね、その間にデッキのある席への道を作ってくれた。おかげで渓谷を見渡す壮観な眺めを得られた。さらにその下には野生動物の池を作ってくれて、すぐにミズムシ[カメムシ目]やカエルの産卵、トンボでいっぱいになった。
これらはすぐに庭のお気に入りの場所になった。しかし、それ以外の区画は生い茂ったままで、厄介なままだった。ヒメウイキョウがあらゆる茎に巻きつき、の生垣の真ん中を通り抜け、優雅なアーチを描いてクローバーとタンポポが生い茂る芝生に下りていく。
そこで、作家であり庭師でもあるアリス・ファウラー(Alys Fowler)が「こうあるべき」という伝統的な考えを庭に押し付けるのではなく、自然から学ぼうと提案している記事を読んで元気をもらった。王立園芸協会とキュー王立植物園で30年の経験を積んだファウラーに話を聞くと、次のような言葉が返ってきた。
「すべてのものは、それがうまくいきすぎるまでは野の花であり、その後は雑草となる!そして、何かがうまく行き過ぎたとき、庭の生態系について何かを学べるのです」。彼女は、「良い 」植物と 「悪い 」植物という二元論に抵抗し「良いものと悪いものの間には長い線がある 」と主張し、雑草は 「昆虫を養うのに非常に適している 」傾向があると指摘する。
希望を与えてくれたのは、英国の住宅地の菜園が100万エーカー以上あると推定されていることを知ったことだ。これは、ワイルドライフトラストによれば、国立自然保護区の面積を上回る。菜園家たちは、自分たちだけで生物多様性の危機を解決しようとはしない。しかし、この問題に取り組むための大きな資源であり、圧倒されそうな状況を前にして、私たちが小さな力強さを取り戻すことができる分野なのだと私は思った。
サセックス大学の生物学教授で『The Garden Jungle(ガーデン・ジャングル)』の著者であるデイブ・グールソン(Dave Goulson)も同意見だ。「庭園は私たちを好転させる上で重要な役割を果たすことができます。そして、それは変化をもたらすのに十分なのです」
やや気落ちする話としては、2023年に発表された『State of Nature(自然の現状)』では、イギリスの動植物の6種に1種が絶滅の危機に瀕していることが明らかになった。それならなおさら、少しでも緑地がある幸運な私たちは、そこにできるだけ多くの野生生物を生息させなければならない。「しかし、もしあなたが自分の小さな畑に取り組み、より良い場所にすることができれば、すぐにその成果を実感できるはずです」とグールソンは言う。「ラベンダーの茂みを植えるだけで、5分後にはミツバチがそこにいるのです」
生物多様性の危機に対する危機感は、園芸界のより伝統的な分野にも広がり始めているようだ。2022年のRHSチェルシー・フラワー・ショーで最優秀ショーガーデンに選ばれたのは、ルル・ウルクハート(Lulu Urquhart)アダム・ハント(Adam Hunt)の「A Rewilding Britain Landscape」であり、昨年は「The Centrepoint Garden」が、自然に任せる区画として最優秀施工賞を受賞した。RHSは、雑草をヒーロー植物として再ブランディングしている。
泥炭と泥炭地についての本を執筆中のファウラーは、彼女が興味を抱いているのは、人々が自分のスペースのエコロジーを理解することだと言う。「エコロジーは私たちに多くのことを教えてくれ、私たちの庭造りを本当に豊かにしてくれます。エコロジーについて言えるのは、関係性がいかに重要かということなのです。思うに、気候危機の多くは関係性の危機なのです。私たちは環境との関係、季節との関係、互いとの関係を忘れてしまったかのようです」
この言葉は、自分の庭をこれまでとはまったく違った角度から見る助けとなり、自分が何をすべきか、場合によっては何をすべきでないか、より明確なイメージを与えてくれる。
ステファニー・ボクソール(Stephanie Boxall)はフリーランス・ジャーナリスト。Twitter/X @BoxallStephanie で検索ください。
庭に野生動物を増やす方法
自生の花を育てる
研究によると、原生種は非原生種よりも多くの花粉媒介者を引き寄せる。
堆肥の山を作る
堆肥は良いマルチ材になり、多くの無脊椎動物の住処になる。
池を作る
たとえ建築業者用のトロ舟であっても。野生動物が出入りできるようにする
芝を刈る頻度を減らす。
野生の花を咲かせるために、芝生の一部を刈らずに残す。
高さの異なる植物を植える
こうすることで、さまざまな種類の昆虫の生息地となる。
枯れ木を積み上げる
小枝の山でも野生動物の住処になる
このアドバイスはAlys FowlerとDave Goulsonによるものです。
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