なぜ環境キャンペーンは季節との関連付けが大切なのか?

地球のカレンダーにアクティビズムを根付かせるようにニック・ロビンは訴えかける

翻訳:坂井 晴香

 今年の夏至は特に大切でした。1年で最も日が長い、6月21日の夏至をストーンヘンジや他のどこかで祝うのに加えて、イギリスでは Clean Air Day(綺麗な空気の日)でもあります。この喜ばしい偶然には深い共振があります。と言うのも、毎年700万人もを苦しめる有害な大気汚染から解放されることへの差し迫った必要性が身に染みるほど強く照らし出されているときであろうからです。とはいえ、このように季節と時期を合わせることは例外的です。

 季節の年間周期と環境キャンペーンを結びつけるのは珍しいことです。私たちはこの世界の現実と持続可能性への苦闘を結びつけていないことで好機を逃しているようです。


季節の法則

 もちろん本来、私たちは四季とつながりのある生き物です。地球が太陽の周りを1年で公転し、特有の自転と傾きがあるので、私たちが受ける光や温かさが変化するのです。イギリスでは大体3か月ごとに春、夏、秋、冬がそれぞれ来るという構成です。

 これら4つの季節は、キリスト教のカレンダーにおいて最もはっきりと、私たちの文化に変換されています。日照時間が最も短い、冬至の数日後にクリスマスがとり行われます。キリストの誕生祝いは太陽の再生を示しており、ローマ時代初期のサトゥルナリアという祭りのを基にしています。 しかし、かつてよりも私たちは季節を気に留めなくなっています。地球の年間周期によってではなく空調や温度を管理された室内でより多くの時間を私たちは過ごしています。

 現在、農家が労働力に占める割合はわずかです。スーパーマーケットでは、昔はある時期に数週間のみ楽しめた食物を年中手に入れることができるよう提供しています。

 現在、私たちの一年は消費資本主義の論理によって大部分が構成されています。イースター、クリスマス、アメリカでの感謝祭といったかつては国家的、宗教的に重要であった行事で見事に埋まっています。実際、感謝祭はブラックフライデーの前兆で、アメリカで最も買い物に忙しい時期。また、環境意識の高い人にとっては、国際的な無買日となっています。

 季節はただ隠されているだけではありません。汚染によって季節は混乱させられています。現在バリでは「ごみの季節」に耐えています。毎年ふる雨で、近隣のジャワから大量のごみが流れ込んできます。私たちが大気に押し出している二酸化炭素の有害な層が太陽の熱を閉じ込め、気候の混乱を促します。

 昨年の11月にロンドンの私の庭で明るい赤色のポピーを見つけました。従来の開花期の数ヶ月後のことでした。温暖化が最も早くに始まったグリーンランドでは、スゲの一種がほんの10年前と比べて26日も早く春の訪れを示しています。ゆっくりと何世紀もかけて作られてきた人間、動物、植物の相互交流パターンがこの数年の間に覆され、生物種が期待できる栄養源から分離され、豊かな自然がさらに失われていくのを加速させてしまいます。

 冬の始まりにユーラシア大陸中に広がるスモッグの新たな季節が化石燃料を燃やすことで生み出されてきました。

 それは北京やデリーのような都市で今では悪名高い集中的な大気汚染と冬の寒さが混ざり合う時です。パキスタンでは、11月前後の致命的な時期を「5つ目の季節」と環境学者は言います。

 今世紀に入ってからだけでも、大気汚染によって若年層7,000万人が亡くなっています。Health Effects Institute(健康被害研究所)のデータによると、大気汚染は毎年冬に突発し、主要な死亡原因です。 


抽象的なアクティビズム

 私たちの多くはこの破壊を止めて、持続可能な社会を作ることに取り組んでいます。

 しかし自然を再生するための行動は、概して季節に見合う私たちの暮らしの基盤から取り出されます。私たちは環境への慈善活動へ毎年貢献しています。暖かくなる夏の時期にボランティアに参加します。しかし、私たちが四季と切り離されていることは私たちが自然のカレンダーとの繋がりを失っていることを意味します。

 したがって私たちは8月や9月にハリケーンが国際ニュースの見出しに上がると驚きます。しかし、これは恒常的なパターンなのです。

 社会的環境的な意識を駆り立てる個々の記念日は確実に足りているのです。国連には150もの国際的な公式記念日のリストがあります。その多くは6月5日の世界環境デーのように持続可能性と関連付けられています。しかし、懸念事項につながる理由について明確な論理がそこにはないのです。


地球のための記念日(抜粋) 

2月2日:世界湿地の日

3月3日:世界野生生物の日

3月21日:国際森林デー

3月22日:世界水の日

4月22日:アースデー

5月20日:ワールドビーデー

5月22日:国際生物多様性の日

6月5日:世界環境デー

6月8日:世界海洋デー

6月17日:砂漠化および干ばつと闘う世界デー

6月18日持続可能な料理の日 (Sustainable Gastronomy Day)

6月21日:空気の日 (Clean Air Day)(英国)

9月16日:オゾン層保護のための国際デー

10月4日世界動物の日/聖フランシスコの日 (St Francis’ Day)

10月21日:林檎の日 (Apple Day)(英国)

11月5日:世界津波の日

12月5日:国際スモッグデー (International Smog Day)

12月11日:国際山岳デー

。。。(記事全文は定期購読にてどうぞ)。。。このように季節を利用することは、私たちの生活の中から自然が消えるのを防ぎ、地域社会や世界中の人々と新たなつながりを作るのに役立ちます。

 私たちが持続可能性を生きた現実とするには、旬の味付けがいくらか必要なのです。

 賢明なコメントと提案をしてくれたイアン・クリスティーに謝辞を述べます。

ニック・ロビンはロンドン大学の経済学部において持続可能な金融の実践教授を務めています。 彼はリサージェンスの理事を辞任し、ここに個人的に投稿しています。

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Article - Why Green Campaigns Need Some Seasoning • Nick Robins

Grounding activism in the Earth's Calendar

309: Jul/Aug 2018

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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