レッドカーペットをグリーンに変える

スタイリストのベイ・ガーネットはサステナビリティコンサルタントのリビア・ファースに会います。

翻訳:竹田 真理

ベイ・ガーネット(以降BG):あなたはサステナビリティ・コンサルタント会社のエコ・エイジ(Eco-Age)の設立者でありクリエイティブ・ディレクターですが、その話の前にこれだけは言わせてください。あなたは本当に本当に長い間、サステナビリティについて語り変化を起こしてきたと感じているんですよ。とうとう声が届いたと感じるのはどのようなものですか?今のなり行きをどのように感じていますか?

リビア・ファース(以降LF):私たちは歴史の素晴らしい瞬間にいる気がします ー とても多くの新しい機会があります。去年のパンデミックを通して、私たちの社会としてのパズルのピースが完全に方向性を見失いました。パズルは解体されてしまったのです。そして私たちには今パズルを異なる方法で再構築する素晴らしい機会があるのです。世界中の人々と繋がっているのだと感じたのは、私たちの世代で(私たちの人生で)初めてだったと思います。新型コロナはあらゆる場所にいて、地域的な問題ではないのです。どこにでも起こるのです。

 私たちが団結していると感じたと私が思うのはこれが初めてで、私たちの選択ということになるととても重要になってきます。この社会を再構築する時、私たちはこの団結している感覚をきっと忘れることはないでしょう。そしてこの団結を流行に持っていけるでしょう。以前、人々が物を買うと、世界の反対側で奴隷のような環境でその衣服を作っている女性たちとつながるのだということを理解してもらおうとしていた時、人々は「貧しい女性たち、でも私たちは気にしない」と言うこともありました。今ではきっと人々は、適切に賃金を払われておらず、空腹でひどい環境で働かされているこの女性たちを想像できるでしょう。そして、この繋がりが新しい方法で構築されたとすぐに感じるでしょう。

 だから、私はこれがドラムを本当に叩き始める素晴らしい瞬間で、アクティビストとして叩くのをやめる時ではないと思っています。この瞬間、土地は変化をもたらすに充分肥えているからです。

BG:サステナビリティに対するあなたの情熱はどこからやってきたのでしょうか?サステナビリティ関連で働く私の親友の一人は、虫採りのようなものだと言っていました。一度始めたら戻ってこられないと。

LF:私が「虫」を捕まえた瞬間はありませんでした。私が大人になる前は、巨大なファストファッションは存在しませんでした。私は働きながら母と私と4人のきょうだいをサポートしてくれた父に育てられたので、私の母と父は必然的にサステナブルでした。私の母は1970年代に節約のために節電の電球を買っていました。私はサステナビリティが常識という中で育ちました。後の人生で、私のアクティヴィズムは人権に関するものでしたが、バングラデシュに行くまで人権とファッションを結びつけることはありませんでした。そしてその時そういった女性たちに出会い、目にしたことが信じられませんでした。それは2008年で、その時初めて本当に理解ができました。そして虫を捕まえ、環境的な観点より社会正義の観点からサステナビリティにアプローチするようになったのです。

 私たちエコ・エイジにとって、社会正義と環境正義は手を取り合います。ファッション業界は人間の業界で、環境への影響は奴隷の労働力をもって初めて起こりうるファストファッションの爆発によって引き起こされてきました。奴隷の労働力なしにはファストファッションはありえません - その一言に尽きます。何かをとても安く買うと同時に、他人への巨大なコストにならないことを期待することはできません。しかし、私たちにこの甚大なレベルの消費を引き起こさせるレベルの洗脳とは本当におかしなことです。ファストファッションのビジネスは、安く買うのは民主的な権利だという精神を私たちに信じさせたのです。

BG:もしあなたにお金がなかったら?という議論をどう言われますか?私は、中古品を買いなさい!といいます。あなたは何というのでしょう?

LF:私はお金がない中で育ちました。あなたの言うように古着を着ていました。服を買うのにお金は必要ないということで - そしてこれが問題なのです。つまりそれがあなたの権利だと思わせられるのです。私はみなさんに『ザ・トゥルー・コスト』(アンドリュー・モーガンによるドキュメンタリー映画で、リビア・ファースとルーシー・シーグル、アンドリュー・モーガンがエグゼクティブ・プロデューサー)を観ることをお勧めします。

BG:レッドカーペットの映画スターという考え方がどこか変わってきたように感じます。あなたはいかがですか?

LF:レッドカーペットはこれまでのコミュニケーションで最もパワフルな形でしたし、だからこそ私たちが2010年にグリーンカーペットチャレンジを始めた時その大きなプラットフォームを他の物に使ったのです。私はいつも他の物のプロモーションをする時、レッドカーペットの可視性に感謝しています。グリーンカーペットチャレンジがなければ、サステナブルファッションがどのようにデザインされたかとまったく関係がないという事実を確立するのにもっともっと多くの時間を要したでしょう。ガウンが美しいとしたら、それがサステナブルかどうかとは関係がないのです。しかし以前は、サステナブルファッションは茶色で麻を使っているという連想がありました。グリーンカーペットチャレンジはヴァレンティーノやアルマーニのショーケースの役に立っていました - 最も完璧なガウンをデザインしていましたが、リサイクルされたペットボトルで出来ているものでした。

BG:しかしデザイナーはどうして常にそうしないのでしょうか?

LF:彼らはグリーンカーペットチャレンジがあるから始めたのです。1着のガウンを作る為にそのドアに足を踏み入れることで、異なる考え方をするデザイナーをたくさん集めました。それでたくさんのブランドはリサイクルされた布をより使うようになっています。レッドカーペットの将来はとても面白いものになるでしょう。

BG:どのファストファッションブランドが特に責められるべきでしょうか?

LF:すべてです。人々はすべてのレベルで彼らの搾取の範囲を理解するためにザ・トゥルー・コストを見る必要があります。あのドキュメンタリーがすべてを変えました。

BG:エコ・エイジについて教えてください。

LF:エコ・エイジは、まったくユニークな統合型サステナビリティ・コンサルティング会社です。私たちはすべての戦略を立て、それを実行し、コミュニケーションをとる - 360度の包括的な運営です。私たちは技術的な専門知識を組み合わせて企業の評価をした最初の企業で、私たちが企業の代理としてコミュニケーションをとるとき、彼らについて研究をしているので正確に何について話しているかがわかります。私たちのコミュニケーションの戦略は完全に正直なものです。正直でないと何かをするのにどうにもなりませんよね?

BG:私は中古品にはまっているのですが、それは私にとって本当に唯一サステナブルな買い物だからです。賛同していただけますか?

LF:私は唯一の現実的な解決策は、たくさん買うのをやめることだと考えています。私たち一人ひとりができることは最低でもそのアイテムを30回は着られるかどうかを本当に考えることです。もしその答えがイエスなら、買いましょう。もし答えがノーなら、戻しましょう。答えがノーの頻度がどれだけ多いかと驚くことでしょう。それが肝心なところです。私たちは必要としていないのに買うのです。サステナビリティやサステナブルなファッションとは何かについて、私たちは気を取られていたように思います。何よりもまず第一に、私たちはたくさん買うのをやめて、クローゼットに持っているもので幸せになることが必要です。

ベイ・ガーネット(Bay Garnett)はファッションスタイリストで、オックスファムのシニア専任ファッションアドバイザーです。彼女は、高級品の撮影にヴィンテージ品を初めて取り入れ、倹約を主流にしました。www.baygarnett.com

グリーンカーペットアワードは2021年10月に開催される予定です。エコ・エイジの情報はこちら:www.eco-age.com

Turning the Red Carpet Green • Bay Garnett

An interview with sustainability consultant Livia Firth

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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