大規模な抗議

マリアン・ブラウンは、BP or not BPの共同設立者ジェス・ワースに尋ねます。

翻訳:馬場 汐梨

2014 年、BP のロゴのついた盾を持った男性が、大英博物館の外で並んでいたところで逮捕されました。彼はその博物館の展示のスポンサーであった石油大企業の「ヴァイキング式葬儀」に参加しようと向かっている途中でした。その抗議者は館内の巨大なロングシップ(ヴァイキングの海軍船)のお膳立てに関わっていました。「滑稽だったのは、彼の名前が「トール [Thor: ヴァイキングの崇める雷神]」だったことです」と活動家集団「BP or not BP」の共同設立者であるジェス・ワースはリサージェンス&エコロジスト誌に語りました。「そこで私たちはすぐに『トールが大英博物館のヴァイキング式抗議で逮捕された』というプレスリリースを出しました」

 それは同団体にとって最初で最後の逮捕でした。同団体は、BP がロイヤル・シェイクスピア・カンパニー (RSC) のスポンサーをするのを止めるため 2012 年に設立され(ゆえに、その団体名)、舞台を乗っ取るなどの創造的な作戦を取っています。RSC は去年 BP との関係を断ちました。「彼ら [RSC] は正当な理由でそれを終了させました」とワースは言います。「彼らは BP が自分たちと若者との障壁になってきていると気づいたといいます。去年 1 年間にわたって行われた若者のストライキのパワーは真の証拠であると私は思います」

 BP はシェイクスピアの悪役、ごますりの広報代表、ヴァイキングや海賊としてユーモア交じりに演劇表現されてきました。冗談が失礼であったり不真面目にならない程度に「[スピン報道のような] 情報操作を切り抜ける」強力なツールとして用いてきたとワースは言います。去年、アッシリア工芸の展示を見にきた人々が目にしたのは、BP の重役の格好(「掘削と流出の副会長」や「石油と悪魔の副会長」)をした活動家たちとパロディの垂れ幕でした。垂れ幕の一つには「BP は古代イラクの物を喜んで支援します。アッシュールバニパル [新アッシリア時代のアッシリア王] のように、その地域の富と資源をコントロールし続けるためなら何でもします」と書かれていました。

 彼ら「俳優兼活動家 (Actor-vist)」は、植民地侵略の間に奪われた財宝を取り戻したいと考えている活動家との連携をますます強めています。2019 年の 5 月には、先住民による博物館のツアーに何百人もの人々が参加しました。パレスチナやイラク、ギリシャやオーストラリアの先住民の活動家の、植民地主義の間に略奪されたものを本国に送還したいという強い主張が聞かれました。1770 年にオーストラリアを初めて訪れたジェームズ・クックとその兵士によって奪われた祖先の盾を取り戻すことを望んでいる活動家のロドニー・ケリーによって、そのツアーは開催されました。

 では、彼らはどれだけこの作戦が効果的だと見込んでいるのでしょうか?「理事会はとても法人化されていて、たくさんの CEO や投資家がいて、100% 権力層なので、そのグループがスポンサーとしての BP から離れることを促そうとすることは大きなチャレンジなのです」とワースはいいます。「私たちは最終的には勝つでしょうし、博物館に行って芸術作品や歴史に BP のロゴを見るたびに、心中穏やかでなくなるので早く勝ちたいと本当に思います。それは侮辱的で不愉快なのです」

 この雑誌が印刷される頃には、同団体は「BP の破綻 (Fall of BP)」という抗議を計画しています。それは、BP の支援による「トロイ:神話と現実 (Troy: Myth and Reality)」の展示を目立たせる巨大な(クラウドファンディング資金の)トロイの木馬を使うものです。彼らは、ヴァイキングのロングシップのように、その構造物を博物館に持ち込もうとしています。ワースはそれが、700 人が参加を表明する「過去最大の活動」になると思っています。では、彼らはどのようにしてそれを行うのでしょう?「あまり話せませんが、おそらく大規模なものになるでしょう」と彼女は言います。

マリアン・ブラウン は、リサージェンス&エコロジスト誌の編集者です。

www.bp-or-not-bp.org


Decolonisation - An Epic Protest • Marianne Brown

An interview with BP or Not BP co-founder Jess Worth

319: MarApr2020 

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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