気候変動問題のためのストライキ

子供たちがかつてないほど私たちを必要としている。とジョナサン・ニール。

 翻訳:浅野 綾子

私は 15 年間、気候変動問題の活動家をしています。その間、世界中のリーダーたちは地球上のすべての生命を裏切り続けてきました。リーダーたちは温室効果ガスの排出を制限すると言いました。その言葉とは裏腹に、世界規模での排出量は異常なスピードで増え続けています。何でもないような顔をしていようと努めていましたが、集会や行進に行った後、ひとり暗闇で絶望した夜は数えきれないほどありました。

 今、気候変動問題の学校ストライキが希望を抱かせてくれています。この学校ストライキでは、9月20日の金曜日に行われる次のストライキに一緒に行動しようと、すべての人たちに呼びかけています。

 この学校ストライキはとにかく前例がないものです。世界規模のストライキということで今までになく、子供たちが呼びかけるストライキとしても前代未聞です。大人が受け渡そうとしている世界に住まなければならない子供たちが、大人に行動するように求めているのです。これまでのあり方を 180 度変えて、とことん突き詰めてうまくいく解決方法を探すようにすべての人に求めているのです。

 この学校ストライキには道義的なよりどころもあります。というのもこれは何人もの子供たちが声をあわせての行動なのです。市民的不服従や行進、集会、請願、占拠は、同じ思いを抱える人たちと力をあわせようと日常生活から抜け出してくるマイノリティの行動です。この学校ストライキでは、全員の生徒たちが出てくる学校があるわけではありませんが、それを目指しています。

 ストライキをすることで、子供たちは、6 歳かもっと小さい時から自分たちの生活を支配してきた権力に公然と立ち向かっています。

 子供たちのストライキは世界規模であり、集団的であり、服従の拒否であり、多数派になることをめざしてとことんやり抜くことを目標にしています。こうしたことは、地球上のいのちを救う運動に必要となる特性です。

 地球上の有力者や富裕層、リーダーたちは行動してこなかっただけではありません。彼らは行動することを拒んできたのです。今なら、根本的な変化をもたらす政府を選び、こうした人たちを一掃しなければならないとわかります。こうした政府が困難にぶつかるだろう事柄を考えると、これらの政府には、複数企業に対する集団的抵抗に覚悟のあるマジョリティが必要になるでしょう。

 学校ストライキに心躍るのはこうした理由です。もしかしたら、という未来を思い浮かべることができるのです。

 ですからぜひ、9月20日のストライキには、子供たち、そして私たちと一緒に行動してください。あなたのやり方で、あなたの居場所で、子供たちのパワーにならってあなたが行動してください。職場で、できるだけ多くの人に一緒に行動してくれるよう話をしてみてください。雇用主には丁重にふるまい、事前に話をしておきましょう。これは権力に対する服従の拒否であることを十分に理解してください。このような政治的ストライキは違法であると心配する人たちもいます。形式的にはその通りです。ですが、子供たちや、地球上のいのちの未来という、はかりしれない道徳的権威が私たちにはついています。参加するなという雇用主がいるわけがありません。

 行動するよう他の人たちを説得する鍵は、一緒に行動してくれる人を見つけることです。明日、一緒に行動してくれる人をひとりかふたり、職場で探してみましょう。あらかじめ用意した計画をもちかけてはいけません。職場の食堂やパブ、カフェで座って話をしてみましょう。何をするかを一緒に考えるのです。若い人たちがするように、個人的な携帯メールをたくさん送ってみましょう。ともかく人に会うのです。何はともあれ話をするのです。不安に思う人や、疑う人たちにとっては、話をすればするほど、気分が盛り上がるほど、わくわくするほど、一緒に行動できそうに思えてくるのです。

 以上が9月20日にむけて最初にすることです。この学校ストライキは、スウェーデン議会の外に座り続けた 16 歳の子供からはじまり、徐々に広がっていきました。今回、あなたが職場から一緒に出てこられる人を 5 人集めたなら、次の時は 20 か 30 人集めることができるでしょう。今回、私たちが 100 万人の大人を集めることができたなら、次には世界規模で 500 万人集めることができるでしょう。

 他の人たちに、こう言えるかもしれません。母親が病院に運ばれたらすぐに仕事を切り上げるでしょう。今、母なる地球は炎に包まれるかのような緊急事態で、すべての地球の子供たちは危機的な状況におかれているのですよと。

ジョナサン・ニールは「One Million Climate Jobs」の編集者。ナンシー・リンディスファーンと共に、「アン・ボニー・パイレーツ」のブログを執筆している。

学生が共に立ち上がる

バングラデシュにその声がひびきわたる ― マムドゥル・ハサン 19 歳より

翻訳:浅野 綾子

最初、ツイッターやフェイスブックでこの運動を追っていました。地球市民として、どうしたら気候変動の危機を止められるのか、居ても立っても居られないほど気になっていました。その時、グレタ・トゥーンベリとその世界規模のストライキを知ったのです。それからバングラデシュでストライキをはじめました。バングラデシュでは、気候変動ストライキが毎週金曜日に 15 の都市で行われています。

 両親や先生の反応ですか。そうですね。正直にいって、両親も先生も無関心でした。ですから、私がひとりで気候変動問題のストライキをはじめた時は、このような具合でした。「本気? プラカードをもって、ひとりで立って、世界を変えようってこと?」 でも今では、仲間たちとそれをやっているんですよ。

 他の生徒たちはこの問題を真剣に考えていません。他に問題が山ほどあるのに、どうして気候問題を扱うのかと言います。この問題がどれほど重要なのかわかっていないのです。

 9月20日は、どんなことがあっても仲間たちとストライキに行くつもりです。1 人ではできることが少なくなるので、今、ブライターズソサイエティ (Brighters Society) という名前の団体で活動しています。この団体を起点に、若いひとたちがたくさんの活動をしています。まず、私たちはもっともっとたくさんの友人たちに仲間に加わってもらおうと努力しています。そうすれば、一緒に立って「今、気候変動の緊急事態です!」と叫ぶことができますから。学校でキャンペーンができるように働きかけてもいます。学校の生徒や先生が一緒にいれば、声はもっと大きくなります。ですから、学校の先生や生徒を巻き込もうと試行錯誤しているのです。

 すでにストライキをしている都市のすべての学校で、校内コーディネーターを選べるようにしようと活動しています。選ばれた信頼のある人たちならクラスの仲間をストライキに動員してくれるでしょう。

 9月20日の前に、首都を含めた、大きな都市のいくつかで国内ストライキを企画するつもりです。このストライキを通して、バングラデシュの関係当局や政府の注目を集めることができるでしょうし、そうすれば政府が気候変動緊急事態の宣言を早く出すことができます。

 2、3 の都市では、毎週金曜日にストライキをする主催者がすでに何人かいます。私たちの今のミッションは、その数を増やすこと。そうすれば、どのストライキにも大勢の人を集めることができます。

 主催者やボランティアの数を増やすのと同時に、バングラデシュのもっと多くの都市でこの問題のストライキができるように活動しています。ストライキをする場所が増えるほど、気候変動の緊急事態にもっと注目を集めることができるようになりますから。

マムドゥル・ハサン (Mahmudul Hassan) は、「フライデーズ・フォー・フューチャー バングラデシュ」の主催者の 1 人。

親もバックアップ

若者の世界規模でのストライキに触発されて、ペアレンツ・フォー・フューチャー (Parents For Future) が、この6か月間の間に20か国以上で立ち上がっています。イギリスでは、この団体が、ストライキの主催者であるイギリス・スチューデント・クライメット・ネットワーク (UK Student Climate Network) と緊密に連携しています。気候変動に対処する、政治レベルでの有意義な緊急行動を求める若者の求めに応じ、大人も声を上げるように求めています。週に 1 回の行動も提案しています。そうすれば、大人が経済主体、有権者、働く者としての自分たちの力を利用して、緊急行動へのプレッシャーをかけ続けることができますし、自分たちの生活の中で変化を起こしはじめることもできます。

 未来の世代が受け継ぐこの地球がどうなるのか、気にかけるすべての大人の方たちにお願いです。9月20日に行われる一般および若者たちの合同ストライキに参加してください。ペアレンツ・フォー・フューチャーでは、世界をめぐるリレー行動を企画する予定です。イギリス国内での行動も今までにない形で計画中です。

日本の学生から大人たちへ

大学2年生の井上寛人さんより

こんにちは。大学 2 年の井上寛人といいます。来週金曜日の9月20日、僕ら学生が中心になって準備している、気候変動の緊急性を訴える「グローバル気候マーチ」が全国 17 都市で開催されます。ぜひ参加していただきたいと思い、この場を借りました。(中略)

 9月23日に、国連気候サミットが開かれます。各国のリーダーが集まるこのサミットは、気候変動を止めるための野心的な行動計画を定着させるチャンスです。だからこのサミット直前の9月20日に、僕たちも地球のために集まって声をあげませんか? (中略)

 北海道、岩手、仙台、福島、栃木、東京、富山、石川、名古屋、大阪、京都、神戸、岡山、福岡、大分、鹿児島、沖縄。最初は東京だけだったマーチがこんなに広がり、仲間が増えています。ぜひこのページを見て、お近くの気候マーチに参加してください。

 一緒に、地球のために歩けることを楽しみにしています。世代や国境を超えて、繋がりましょう!

Climate Strikes • Marianne Brown

316: Sep/Oct 2019 

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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