聴くための空間
ブリジット・ラッセルとチャーリー・ジョーンズが、2020年5月に共同で立ち上げたオンライン・イニシアチブ「Listening Spaces」を紹介する。セッションは週2回、日中と夜に開催される。参加費は無料で、セールスも無し。
翻訳・校正 :沓名 輝政
この4年間で、私たちは400を超える「聴くための空間」を招集し、参加することによって、2,000人をはるかに超える人々とつながりを築いてきた。これらの空間はそれぞれ8人ずつの1回限りのグループで構成され、最初は事実上見知らぬ者同士だ。軽く構成されたヴァーチャル空間に1時間弱集まり、3回の傾聴ラウンドで互いの話に耳を傾けるだけ。正式な役割や上下関係はない。高い目標も、期待も、責任もない。その場にいること、耳を傾けること、中断することなく順番に話すこと、聞かれていると感じること、そしてその瞬間に自分自身の声にも耳を傾けることを選択する以上に、何かを「する」必要はない。
私たちの経験を振り返ってみると、こうした傾聴の場は実質的に、私たちが望む変化になるためには何が必要かを、控えめに、継続的に、共同で探求する場であることに気づく。それは、私たちがただ人間の集団として集まり、一緒にその場にいて、互いの話に耳を傾けるときに何が起こるかについての、永続的かつ実践的な探求なのだ。
「ただ一緒に来て、経験しましょう」
私たち2人は「聴くための空間」のアプローチについてもっと知りたいと連絡してくる人々に、何度もこの言葉を繰り返していることに気づく。特定のモデルを推し進めたり、その影響について主張したりすることは、私たちの意図するところでは決してない。これは完全に、共有され、共創された経験についてのものなのだ。
ある意味、各空間は、人間として互いに耳を傾け、共にあるために何が必要かを探る、協力的な探求の一環なのだ。私たちは誰も、特定の職業や組織を代表してそこにいるわけではない。私たち一人ひとりが、ある程度のリスクを負う覚悟を持ち、おそらくは少し傷つきやすくなり、十分に信頼することが必要なのだ。
他人の話に真に耳を傾け、この共有の瞬間に私たち一人ひとりに何が起こっているのかをより深く理解するためには、何が必要なのだろうか?2分ずつ3ラウンドの間、相手の話を十分に聞くだけの興味を持つために、私たちは相手のことをどれだけ多く(あるいは、どれだけ少なく)知る必要があるのだろうか?この一時的な探求の共同体において、私たちは、見知らぬ者同士として、お互いに自分自身であることに十分な信頼を、どのくらい早く感じることができるのだろうか?
私たち一人ひとりにとって、それは何を引き出すのだろうか。その瞬間、私たちは何に気づき、どのような洞察や学びをその後の人生に生かすのだろうか。他の7人の話を聞くだけで、私たちは自分自身について、自分自身とより広い問題について、何を学ぶことができるのだろうか?このことは、自分自身の生活、仕事、チーム、ネットワークにおいて、私たちがどのような人間であり、どのようにあるべきか、またどのように他の場所で活動することができるかについて、何を意味するのだろうか。
この共有空間で、このグループの人間たちとともに、私たちは集団として何に気づくのだろうか?責任感も、押し付けるべき課題も、取るべきフォローアップ行動もない、7人の不特定多数の人々の話に耳を傾けることは、どれほどカタルシスをもたらすことだろう!そしておそらく私たちは、(他の場では当たり前になりがちな)「修正」「問題解決」「アドバイス」をするために飛び込むのではなく、お互いの話に深く耳を傾けるだけで、どれだけ多くのことを助け、サポートできるかを身をもって実感することができるだろう。
このことは、地域社会や政治社会、市民社会において、「私たち」がどのように違いを超えて集うことができるかということに対して、何を意味するのだろうか?互いの話に耳を傾け、より深く理解し合うことで、私たちはどのように、より協力的に働き、共に学ぶことができるのだろうか。
世界中で、何世代にもわたって、人々は輪になって座り、語り、耳を傾けてきた。それは本質的に人間らしいことだ。ある意味、私たちはこの古代の習慣とそのシンプルな力に再びつながろうとしているのだ。
このような深い傾聴だけで、すべての問題を解決することはできない。しかし、互いに深く聴き合うことで、私たちは滋養を感じることができる。そしてそれは、私たちのもろさ、強さ、そして違いを通して、私たちにコミュニティとつながりを見出す場を提供することができる。そこには希望と可能性がある。
ブリジット・ラッセル(Brigid Russell)は、スコットランドの公共セクターやサードセクターの人々と共に働くコーチ兼ファシリテーター。過去4年にわたり、チャーリー・ジョーンズと協力し、毎週Zoomで#SpacesForListening を開催し、英国内外の何百人もの人々の話に耳を傾け、つながりを深めてきた。よりオープンな会話をする場を増やすことに情熱を注いでいる。@brigidrussell51
チャーリー・ジョーンズ(Charlie Jones)は、ブリストルのサウスミード病院で臨床心理学チームを率いている。彼は、NHSで働くためのシステマティックで関係的なアプローチ、そして同僚と患者の両方と安全で正直な会話をするための持続可能な条件をどのように作り出せるかに情熱を注いでいる。@Charlie_psych
セッションの進め方
#SpacesForListening は、ファシリテーター(このファシリテーターも対等な参加者である)によって、3つのリスニング・ラウンドという形で構成されている。各ラウンドにはプロンプトがある:
あなたはどうですか、何を考えていますか?
第1ラウンドで聞いたことを踏まえて、今あなたが考えていることや感じていることを分かち合ってください。
この呼びかで得たもの、心に響いたこと、感謝したことなどを分かち合ってください。
ファシリテーターが時間を計って呼びかけ、一人2分の発言時間が与えられる。3つのラウンドのそれぞれで、決められた順に出番が回ってくる。各自が好きなことを好きなだけ発言できる。自分の番が回ってきたときにパスしたい人がいれば、それも個人の自由。互いの話を遮ったり、一般的な会話を始めたりすることはない。自分の与えられた2分間の中で、他の人の発言にコメントすることもできる。第3ラウンドが終了した時点で、呼びかけは終了となる。
347: Nov/Dec24
0コメント