アース・プライズ

ノーベル賞の授賞式にヒントを得たアース・プライズは、気候変動問題への解決策を見出す上で、若者たちがいかに大きな影響力を持つことができるかを示すためにデザインされた、とスーザン・クラークは書いている。

翻訳・校正:沓名 輝政

毎年恒例のアース・プライズ [Earth Prize: 元々2021年に発足] は、現在10代の学生を対象に2024年11月末まで登録受付中で、私たちが世界的に直面している気候変動問題に対する革新的な解決策を模索するよう、学校や教師に呼びかけている。そして今回初めて、1つの受賞チームにすべての資金を与えるのではなく、2025年の資金を分割して7つの地域の受賞者にそれぞれ12,500米ドルを与え、彼らのアイデアをスタートさせる。

 アース・プライズでは、ポジティブな変化と環境の持続可能性を加速させるプロジェクトに焦点を当てている。学生たちは「フレッシュ・アイデア」を提出し、審査員によって各地域の受賞者が選ばれた後、来春のアースデイ(4月22日)に合わせて発表される総合受賞者1名の投票が一般公開される。

 この賞は、2005年から2011年の間に生まれた学生を対象としている。学校または認定された教育プログラムに登録していることが条件で、単独またはチームの一員として登録することができる。

 過去の受賞者には、2024年のチーム・フラッドゲート(米国ノースカロライナ科学数学学校のティーンエイジャーのグループで、世界中の危険にさらされている地域社会を守るために、洪水予警報システムを考案した)や、2023年のチーム・デラヴォ(トルコのチーム)がいる。彼らは、洗濯機の排水を処理して再利用する装置を開発した。

 この賞は「1回で終わり」というものではない。その代わりに主催者は、創設者のピーター・マクギャリーがアース・プライズ「エコシステム」と表現するものに参加するメンバーに、メンタリング、マスタークラス、ネットワーキング、インターンシップとボランティアの両方の機会を提供する同窓会プラットフォームを運営している。

 スイスを拠点とする金融家であるマクギャリーは、環境保護運動のバックグラウンドはないと語っているが、2019年にジュネーブのオフィスの前で行われた学校ストライキのデモ行進を目撃したことが、この賞を立ち上げるきっかけとなった。

 彼は家に帰り、目の当たりにした騒ぎについて話し、4人の子供たちの長男から、若者たちは地球のために行進しているのだと聞かされた。私は自問自答した。情熱がイベント後に消えてしまわないようにするためにはどうすればいいのか?その日は2021年3月15日で、125カ国で2200のイベントが開催され、100万人以上が参加した。

 「私は、子供たちが行進で見せた情熱を自分の目で見てきた。ノーベル平和賞にも触発され、受賞者についてもっと知りたいと思い、結局、受賞者の論文を読み、彼らについてもっと知ることになった」

 「このアイデアは、世界中の若い子供たちに、若者は本当に影響を与えることができるということを示したかったということです。今年から新しく始まった一般投票では、地域の受賞者に選ばれた7つのアイデアを読んでもらい、そのアイデアに関心を持ってもらいたいと思っています」

 「私がアース・プライズから得たかったのは、アイデアそのもの以外に、この賞に触発されて、人々が気分を高揚させ、進もう、大丈夫だとなること。私たちにはこのような問題があり、無くならなくとも、解決策はあるのです」

www.theearthprize.org

347: Nov/Dec24

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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