都市緑化
シャーロット・イナ・スターランドが、在来種の植栽が都市における生物多様性を急速に増加させることを示した新しい研究について報告する。
翻訳・校正:沓名 輝政
都市部に樹木が多いほど空気がきれいになり、その地域が過ごしやすい場所になるのは明らかだ。ロンドンのハムステッド・ヒースを散歩したり、ハロゲートのバレー・ガーデンズでアイスクリームを食べたり。
現在、メルボルン大学の研究者たちは、都市部での植栽がわずか数年でその地域の生物多様性に好影響を与えること、そして植物の選択によって、そこで見られる昆虫に短期間でも大きな違いが出ることを明らかにしている。
庭の所有者や園芸家があまり考慮しないのだが、自分たちの小さなスペースは生物多様性の最大化に役立てる方法であり、特に植栽自体が多様であれば、都市の小さな一画であっても野生生物を迎え入れるスペースに変えることができるのだ。
オーストラリアの生態学者で昆虫学者のルイス・マタ(Luis Mata)が率いる研究は、土着の植物が特に生物多様性を促進するのに優れているという研究結果を基礎としている。マタと彼の研究チームは、メルボルンにある「木が1本生えているだけの荒れた芝生」だった小さなスペースに土着植物の種を蒔き、豊かで多様な植物群落に変えた。その結果、3年以内に昆虫の種類と数が大幅に増加したという。実際、彼らが予測したすべての種がその場所に生息していたのだ。
固有の植物とは、人間が定住する以前からそこにあった植物のことだ。もちろん、都市部における生物多様性の促進はパラドックスのようなもので、昆虫にとって都市化は決して良いことではない。とはいえ、都市部には生物多様性を育むための小さな緑地が必ずある。
「種の多様性を取り戻すには本当に長い時間がかかるはずですが、この研究はわずか3年で実現できるという具体的な証拠です」とマタは言う。「都市の園芸家にとって『ここに何か植えれば、美しい空間を作ると同時に、多様性を促進できるのではないか』と考える大きなきっかけになるのです」
「この研究では、メルボルンで発見された10種の土着植物が、昆虫の活動を最も活発にし、生物多様性を促進すると考えました。昆虫のなかには、さまざまな植物に現れるものもいれば、特定の植物に特有なものもいます。つまり、さまざまな植物があれば、昆虫の種類も増えるということです」
「私たちは『相互作用アプローチ』を用いました。『相互作用アプローチ』とは、簡単に言えば、昆虫と植物の相互作用の数を調べるということです。3年後には、当初よりも複雑で興味深い、植物と昆虫の間の微調整された統合を発見しました。この『生態学的な深さの洞察』は、単に昆虫の数を数える以上の情報を与えてくれます」
緑の小さな区画を変え、生物多様性を素早く呼び込むことが可能であるというシグナルを、あらゆる場所の地方自治体に送るこのチームの研究は、メルボルン市から資金提供を受けている。同チームによる新たな研究は、メルボルン市とは別の場所で実施されており、土着植物を植えた場合の蝶とミツバチの生物多様性を特に調査している。結果は今年後半に発表される予定だ。
シャーロット・イナ・スターランド(Charlotte Ina Sterland )はミュージシャンで、ジャーナリストで、岩や木に登る人。持続可能なウールの織物の会社 Shear Rock を共同設立し、持続可能なテクノロジーに関心を寄せている。
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