小さな考えと大きな未来

社会正義、環境、平和がいっそう重要に。

カオス理論では、関連が無いと見られる出来事に結びつきがあり得ると捉えます。蝶が羽をはばたかせると、ハリケーンが数週間後に吹き荒れます。連鎖反応があるのです。スコットランド独立に関する先ごろの住民投票をとりまく活動でも、同様な反響がありました。産み出されたのは広範な議論で、更なるローカリズムの必要性、私たちの生活の自立 ー 人々に真に引き渡されるべき力についての議論でした。

本リサージェンス新年号では、この議論を掘り下げ、幅広い特集を組み、記者がスコットランドの活動を調査し、英国の他地域への影響について議論します。議論はブリテン諸島にとどまらず、カタルーニャの先の投票や、切望されていたパリ市民の都市全域の環境運動への投票(Frontline: 最前線ページをご参照)に及びます。ローカル化の考えは動き始めています。それは権力を弱める考え方で、地方行政のほうが人々のニーズに適すのではという考え方です。「小さいことは素晴らしい」というのは、リサージェンスが提唱してきたもので、環境、社会活動、社会正義、エシカルな暮らし、アートに関するその他の主張を伴い、創刊以来、およそ50年間推奨してきました。今日でも、こうした懸案は依然として妥当で、何かあれば、むしろより強いものとなります。そこで、今号の他のページには、Naomi Klein(ナオミ・クレイン)のインタビューがあり、気候変動に直面する中でのつながりある活動の必要性が語られます。また、Vandana Shiva(ヴァンダナ・シヴァ)とCraig Sams(クレイグ・サムズ)が明かすエコロジカルな必須事項もあり、これは土壌を守るためのもの。そして、Max Lawson(マックス・ローソン)は化石燃料産業のロビー活動の圧力を抑え込む緊急性を語ります。

私たちが考え、興味を抱くのは、国際的でしかも地域に根差したものです。今号で、Adam Weymouth(アダム・ウェイマウス)がアラスカからレポートするのは、先住民の権利に関する活動、アメリカの高名な環境活動家、 そして、私たちの言語が失われる危険性を鋭く記す批評家 David Orr(デイビッド・オア)。それから、社会評論家 Jeremy Seabrook(ジェレミー・シーブルック)は市場の神話を追求。また、宗教と環境に関する記事の新シリーズの初回として、Rob Burbea(ロブ・バアベイア)は仏教自体とその自然との関わりについて検証しています。

アートの誌面では、いつも通り、関心事と発想を考察。Fiona MacCarthy(フィオナ・マッカーシー)が論じるのは、偉大なヴィクトリアの先駆者で、芸術家で、政治的急進派の William Morris(ウィリアム・モリス)の作品と影響について。インドのサロッド奏者 Amjad Ali Khan(アムジャッド・アリ・カーン)が語るのは音楽とスピリチャルについて。Ian Skelly(イアン・スケリー)が訪れたのは、 Prince’s School of Traditional Arts(英国皇太子の伝統芸術学校)で、手工芸スキル向上のための学校です。それから、詩人 Matt Harvey(マット・ハービー)が述べるのは、再生可能エネルギー企業と活動した際のこと。多勢のレギュラーのコラムニストや特集を伴う今号で、読者のみなさんが楽しく元気になればと思います。休暇シーズンが過ぎ去っても続くような楽しさと活力で。

2015年になり、リサージェンス & エコロジストが支持する主張は、きわめて重要になっています。私たちはそれらを追求し続けます。

全読者にとって平和で満ち足りた新年でありますように。

サティシュ・クマール、リサージェンス & エコロジスト編集長

翻訳: 沓名 輝政

Small Ideas Big FutureSatish Kumar

Social justice, environment and peace are more important than ever

288: Jan/Feb 2015 

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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