転換点

翻訳:沓名 輝政

人生を変える瞬間は、臨死体験から、仕事を失うことや親になることまで、様々な形をとり得ます。これを書いている今、別の種類の人生を変える出来事がニュースを賑わせています。世界的なパンデミックの出現です。それは世界経済のシステム障害を引き起こしており、最貧層が危機の矢面に立っています。私たちの生き方を見直す時期があるとすれば、今がその時です。

 パニックと自己満足が煮詰められた中に混じって、何か別のものがあります。希望です。「今日の新興のパンデミックは、人類の集団的な道徳的価値観、優先順位、自己と共同体の感覚において、緊急に必要とされる転換期のイベントを触媒するのに役立つ可能性がある」と、カナダのウォータールー大学環境学部のトーマス・ホーマー=ディクソン (Thomas Homer-Dixon) 氏はグローブ・アンド・メール紙 (The Globe and Mail) に書いています。「それは、資源が枯渇し、自然システムが衰退していく、小さくて混雑した地球上の私たちの共通の運命を思い出させてくれるかもしれません」

 早すぎることはありません。世界の CO2 排出量の道筋と最終的には地球の命運を決定する、最も重要な国連締約国会議までのカウントダウンが始まっています。新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の拡散と同様に、私たちは皆、気候危機の影響を緩和する責任を負っています。物事を変える必要があります — 早急に — そして、私たちは皆、解決策の一端を担うことができるのです。

 今号の「リサージェンス & エコロジスト」では、これらの解決策がどのようなものであるかを詳しく見ていきます。キャサリン・アーリーはクリスティアナ・フィゲレスに、気候危機に直面しても不屈の楽観主義者であるためにはどうすればよいかを語り、基調コーナーでは、トム・リヴェット・カルナックとの共著であるフィゲレスの新著「私たちが選ぶ未来」からの抜粋を特集しています。ハリエット・ラム (Harriet Lamb) は世界各地の気候問題の解決策を紹介し、編集部はインドの若い活動家を訪問しています。

 エコロジストのコーナーでは、ブレンダン・モンタギューが、コロナウイルスの蔓延の背後にある本当の原因は何なのか、資本主義なのか、そして彼とジョージ・モンビオがつながりについて語ります。サラ・メレンドロ (Sara Melendro) は免疫力を高めるレモンとジンジャーティーのレシピを教えてくれ、それからお茶をもう一杯、芸術のコーナーで、桂冠詩人 [イギリス王室から最高の地位の詩人に与えられる称号] のサイモン・アーミテージが彼の新しい環境詩賞についてヒュー・ウォール (Huw Wahl) に話してくれました。

 時代はめまぐるしく変化していて、それについていくのは難しいのですが、一つだけはっきりしていることがあります。それは、人々や生きている地球の残りの部分に手を差し伸べることで、自分が地に足をつけておくことができるということです。今号のリサージェンス & エコロジストがあなたに希望とエネルギーをもたらしてくれることを願っています。私たちはみんなつながっていて、すべての行動が重要なのです。

マリアン・ブラウン は、リサージェンス&エコロジスト誌の編集者です。

globalclimatestrike.net

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The Tipping Point • Marianne Brown

Now is the time to reassess our way of life

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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