慈悲

翻訳:沓名 輝政

リサージェンスが半世紀以上前に創刊されて以来、私たちは地球、社会、人間精神が直面する課題に積極的な解決策を伝えるという伝統を確立しました。 もちろん、冷戦の暗い時代に出版された当初の号から、平和や環境への脅威、政治的・経済的不平等の脅威、社会が作り出した疎外、孤立、絶望などの報告を尻込みしたことはありません。その社会では、権力が集中し、少数者に謳歌されていて、成功は富と過度な物質主義によって判断されます。 しかし、リサージェンスの本質は、私たちがこれらの課題に対応できることを宣言することです。より良い方法があります。

 ニュースを公表することが常に喜びです。 ニュースのページや底流のコーナーでは、市民の間の孤独や疎外の問題に焦点を当てて病院の緊急入院率の削減に成功した小さな英国の町フロムでの思いやりあるコミュニティ計画の成功について今号で報告しています。 単なる対症療法に限界を認識した医師は、病気の原因に取り組む助けをしています。プロジェクトを立ち上げて、孤立が健康を悪化させる原因となっている可能性のある人々を、医学的介入の遅れよりもむしろ人間の共感と協力の価値を示す多くの小さな方法で助けています。英国内だけでなく、医療サービスにますます圧力がかかっており、ハイテク医薬品のコストが高騰している時、そのようなイニシアチブは、よりローカルでより社会的な意識のある別の選択肢の価値を示しています。

 このようなプロジェクトの成果は、無限の成長に基づく経済的な騒音の前に人と惑星を位置付けるホリスティックで想像力豊かな政策が成功することを示しています。 デヴィッド・オア (David Orr) は、幅広い基本理念のエッセイで、持続可能な経済がどのように見えるかを概説しており、彼の議論は我らがサティシュ・クマーによる選択肢のコラムから影響を受けています。

 今号の他の箇所でも、リサージェンス(復活)の精神が強いです。 アンドレアス・ウェーバーの官能的経済 [erotic ecology](春にふさわしいですね)のエッセイは、自然界との関係の官能的な面を賛美しています。 ケイト・ブリンコー (Kate Blincoe) は、このテーマを、季節の音の中で最も想像力を刺激してくれる音のひとつであるヒバリの歌をわくわくと思い起こさせてくれるものとして表現しています。 また、「Compassion in World Farming」グループのフィリップ・リムベリ氏は、食料生産のための産業的な利益至上主義的アプローチの危険性をますます認識していることを示唆しています。

 もちろん、他の話もあります。 例えばエコロジストコーナーのエクアドルからの報告は、ある国の憲法に自然豊かな場所のための立法をするという野心的な試みが政治問題にどのように遭遇したかを示しています。 これまでどおり、活動に対する迫害を受けている非暴力的な社会活動家への支援をお願いします。また、季節に見合う元気がわく兆候もみられます。

 これからページをめくるにあたり一言。どうぞ今号を楽しんでください(私たちの願いです)。これは感謝の念を示す言葉でもあります。おかげさまで読者その他の支援者により募金活動が目標に達して、教育、環境、社会正義、芸術の拠点としての新事務所の設立に活用させていただきます。おそらくこれは、リサージェンスのメッセージが今までと同じく重要であるというもう一つの兆候です。 困った時には希望がある。 代わりがあります。

グレッグ・ニール

編集長

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Compassion • Greg Neale

Rising to the challenges of today's world with compassion

307: Mar/Apr 2018

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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