人の暮らしが織りなすタペストリー

リサージェンス＆エコロジストの3/4月号が印刷所を離れてから、世界は変わりました。今、あなたがこの文章を読んでいるとき、別の国が廃墟と化し、別の世代が核戦争による存亡の危機を経験することを余儀なくされています。CND（核軍縮キャンペーン）のケイト・ハドソン事務局長が言うように、戦争で事態が解決する「可能性は全くない」のです。「対話と他者の懸念に対するオープンな姿勢だけが、状況を変えられるのです」

　現実を超えた雰囲気を伴っていたのは、5/6月号で「平和的な抗議活動」のコーナーを構成し始めたことで、英国における市民的自由の剥奪を記すべく何ヶ月も前から計画されていたことです。それはまた、私たちの遺産と、この危機の時代における私たちの役割を思い起こさせるものでもありました。リサージェンスは、1960年代の反核運動から生まれ、平和のメッセージを携えていました。今日、この雑誌は一種のタペストリーのようなものです。科学、哲学、福祉、経済、芸術などの横糸が織り込まれ、縦糸（基礎）は、共感とつながりがです。すべてがどのようにつながっているかを理解し、他者の関心事に心を開くことで、私たちは現実をはっきりと捉えられるのです。これが、ジョアンナ・メイシーとクリス・ジョンストンが「アクティブ・ホープ」と呼ぶものの裏付けとなります。次の段階は、私たちが何を望んでいるのかを明らかにし、その方向へ進むためのステップを踏むことです。

　あなたの手の中にあるタペストリーには、平和的な抗議活動というテーマが織り込まれています。エコロジストのコーナーでは、ブレンダン・モンタギューが弁護士のデイヴィッド・レントン（David Renton）に、現在英国議会を通過中の「警察・犯罪・判決・裁判所法案（Police, Crime, Sentencing and Courts Bill）」の意味についてインタビューし、イヴ・リビングストン（Eve Livingston）が非暴力的環境活動における労働組合の役割について論じています。テーマ別のコーナーでは、ヤズミン・デナウン（Yasmin Dahnoun）がエコフェミニストのヴァンダナ・シヴァと語るのは、60年前の「木を守る人たち」のグループが、最近のインドの全国的な農民の抗議行動にどのような影響を与えたかで、このムーブメントは「地球への愛と農業という職業への尊厳と誇りを原動力とする」とシヴァが言うもの。「知恵と幸福」のコーナーでは、ジェーン・グドールがサティシュ・クマールに、彼女が希望を抱く最大の理由のひとつは若者たちであると語っています。

　また、抗議活動が私たちの身体に与える影響についても考察しています。ユースのストライカーのヘレンは、彼女の乱れた食生活がどのように気候への不安と結びついたかについて感動的な話をし、Insulate Britain［環境負荷となるエネルギーの使用を減らすために英国政府に住宅の断熱政策を求める抗議として主要道路を封鎖する組織］の抗議者であるエンマ・スマート（Emma Smart）は、彼女のハンストについて書いています。

　介護には、精神的な犠牲を伴うこともあります。チャーリー・ジョーンズ（Charlie Jones）とダン・ウォレンダー（Dan Warrender）は、特集記事の中で、介護をする立場の人が、いかにして無理なく「思いやりのある介護」を育んでいけるかについて書いています。「私たちは、脆弱性、痛み、そして最終的には死が、私たち人間が共有する経験の一部であることを本当に知っています」と彼らは書いています。「私たちの人間性を受け入れることは、私たちの不完全さや弱さを受け入れることなのです」

　つながりを祝うために、私たちは新しいエッセイシリーズ「In the Company of Trees」の第一弾を紹介します。今号では、環境保護活動家のアニタ・ロイ（Anita Roy）とサウンドアーティストのジェイソン・シン（Jason Singh）が、古代イチイについて執筆しています。

　ケイト・ハドソンが言ったように、この困難な時代に変化をもたらすであろう2つの力強い言葉、「つながり」と「共感」という縦糸に立ち戻れるのです。

マリアン・ブラウン

リサージェンス＆エコロジスト誌の編集者

（翻訳校正：沓名 輝政）

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