登山家物語
キャロライン・シャバルディーニが住まい近場での楽しみを発見。
翻訳:斉藤 孝子
夫のジェームズと私はプロの登山家です。私はフランス人で、競技登山の経歴があり、一方ジェームズはイギリスの伝統的な登山家です。つまり、私がよって立つのは、パフォーマンス、人工壁での卓越性の内なる追求であり、彼は常により危険な挑戦を求める向こう見ずな岩山の登山家です。
私たちのなれそめは、こうでした。同じスポーツでありながら、私たち二人の種目はフリーライドスキー[滑りながらジャンプや宙返りなどの空中演技を行う競技]とジャイアントスラローム[急斜面の旗門を通過しながら滑るスキー、大回転]ほど違いました。私たちは異質ながらも交流があったことから、一緒に旅行し始めました。最初は純粋に登山のためでしたが、いつからか登山を口実にし始めていたことに気づきました。共に旅行し、並外れた冒険をし、世界の反対側の人々や文化をじかに見て得る現実のシフトを感じるための口実です。
いくつかシフトが起こるにつれ、飛行マイルが加算されました。私は生物の教師として大学を卒業し、20 歳のとき既に、何かが間違った方向に行っていると気づきました。35 歳の今、周囲の世界がより声高に訴えているのが聞こえます。親になったことで、幼い我が子の将来への責務も肩に掛かってきました。旅や探検への欲求は、二酸化炭素排出削減のため控えねばならない必要性とぶつかっていました。
(以下略)
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