ウガンダで増加する自給自足

ケイティ・ダンシー・ダウンズが力強いメッセージを発するパーマカルチャー農園を訪問します。

翻訳:斉藤 孝子

ジョセファット・ムヒンド (Josephat Muhindo) は、体の障害を気にも留めず、難なくその起伏の激しい丘の急斜面を登って頂上に達しました。彼の前には、バナナの樹々とその樹陰に茂るコーヒーの木々が 6 エーカー[約 7,200坪、サッカーグランド 6 面分]にわたって広がっています。またそこには巧妙な灌漑システムがあり、タマネギの促成栽培が行われています。ここは、西ウガンダのこの地にたくさんあるパーマカルチャーサイトの 1 つで、ほかにもモデルサイトがもう1つと、パーマカルチャーのモデルハウスが 14 戸あります。これらはすべて、ムヒンドが創設者兼常任理事である Karambi Group of People with Disabilities(カランビ障碍者グループ)によって作られました。

 このカランビは 1995 年に設立され、障害を持つ人々によって、またそういう人々のために、運営されていますが、持続可能な農業技術を養っているので、食べたり売ったりするのに十分な食べ物を育てることができます。グループはこれまで 415 名の障害者をリハビリし、235 名に経済力を与え、171 名にパーマカルチャーを指導中です。

 カランビ設立以前、その地方の人はジョセファットやほかの障害者たちを笑っていたと彼は話します。

 「人々が私たちカランビを知ってからは、もう私たちを笑わなくなりました。それどころか今は、私たちにアドバイスを求めて来ますよ」

 カランビは、地元の 8 つの学校でパーマカルチャー菜園作りの支援もしてきました。子供たちは教える人々に触発され、新しい技術を家に持ち帰り、家族の作物作りを手伝っています。パーマカルチャーのメッセージが広がっています。

 現在、新型コロナウィルスで世界の多くがロックダウンになる中、カランビはそれに適応していく必要があります。もはや市場で食品を売れなくなり、その経済ショックで人々の脆弱性が増しつつあります。しかし、このグループは常に優れた発想で、成長する方法を見つけています。

 「ロックダウン中、みな家にいなければならないので、私たちは家庭菜園のお手伝いをしています。電話や SMS で連絡を取り合い、ご家庭に伺います」と後日、ジョセファットがメールをくれました。

 ロックダウン中、免疫系を強くするため果物や野菜をもっと摂るよう政府が奨励していて、これがカランビの仕事を活気づけていると彼は説明します。

 カランビの支援を受けたダグラス・マーティは、ロックダウンで家にいます。「この期間中、私は我家の菜園を作り直しました。カランビが果樹の植え方や収穫を増やす方法を教えてくれました」さらに、カランビの仕事はパーマカルチャー農民と近隣住民との間の前向きな関係構築に寄与し、収入を得て家族を養う術を教えてくれたと語ります。

 もうひとり支援を受けたホディラ・ムヒンドは、カランビはこのパンデミックから身を守る情報、例えば石鹸で手を洗うことや混雑した場所を避けることなどの情報も発信し続けていると語ります。

 「幹部さんたちが戸別訪問し、ポショー(トウモロコシの粉のお粥)や豆をくれるんです。野菜をもっと植え、習得したパーマカルチャー技術全てを使うよう助言を受けました」と彼女は話します。

 大家族にとってはその支援品は常に十分というわけではないというホディラさんの指摘を受け、カランビはもっと支援食料を持ってくるよう政府にロビー活動をし、現在回答を待っています。

 「私たちは、支援している皆さん全員に作物を植えるよう奨めています、ポストコロナの危機が来るでしょうし、それぞれの家がそれぞれに食料を持っていれば、状況もましになりますからね。」とジョセファットは言います。

 カランビの仕事は常に重要ですが、コロナ渦中に支援を受けた人々の復元力を見ると、パーマカルチャーを通して人々を力づけることで成し得る効果がわかります。

ケイティ・ダンシー・ダウンズ (Katie Dancey-Downs) は人権・環境が専門のフリーのジャーナリストです。 


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リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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