分岐点

翻訳:フリッツ郁美

ロックダウンに入って 1 ヶ月以上経ち、グラスゴー中心部のかつての賑やかな通りにあるロレックスの店を通り過ぎる鹿が、ソーシャルメディアに登場しました。ショップの商品が「高価(原文は dear。鹿の意の deer とかけている)」であり、多くの「お金(原文の doe は雌鹿の意。俗語でお金の意もある)」がかかるという冗談が飛び交う中、この光景には驚きと喜びの表現が湧き上がりました。 鹿だけではありませんでした。 パナマのアライグマからバルセロナのイノシシまで、コロナウイルスの危機の間に、世界中の野生動物が、私たち人間が構築した自然との境界を超えてきています。

 多くの人々にとっての「当たり前」が過去数ヶ月にわたって休止となったため、私たちは日常生活を支えるシステム(社会的、経済的、政治的、生態学的)を再評価する機会を得ました。 その結果、多くの人々が、経済成長と引き換えにどんな犠牲を払っても構わないのかを問うようになりました。 最終的な破滅の途上で、私たちは本当に「普段の生活」に戻りたいのでしょうか?

 気候と環境災害を背景に、私たちの方法を迅速に変更する緊急性に事欠くことはないのです。 ただし、ダニエル・クリスチャン・ウォール (Daniel Christian Wahl) が基調コーナーの記事で提案しているように、私たちが進むべき道を考えると、私たちは「しばらくの間、混乱に陥る」ことになります。 「私たちが行うこととその方法を単に変えるだけでなく、この変革の 10 年は、私たちのあり方を変えることです」と彼は述べています。

 危機を超える私たちの道は、分離、貪欲、病気からガイアの時代へという私たちの食料システムの変化を包含しなければならないとヴァンダナ・シヴァ (Vandana Shiva) はエコロジストコーナーで書いています。 変化はすでに起こっています。 ローリー・キング (Laurie King) は私たちを英国のシェトランド諸島に誘います。そこでは厳しい気候と輸入への強い依存に直面して、有機農家はより自給自足になる方法を作り上げています。

 芸術コーナーでは、ヘザー・アクロイド (Heather Ackroyd) は、気候の緊急事態の課題に対処するためにまさに文化をどのように変えるかについてアーティストに話します。知恵と幸福コーナーでは、心理学者のステフィ・ベッダナレック (Steffi Bednarek) が私たちのメンタルヘルスのために私たちの恐れを受け入れることを奨励し、アン・ストバート (Anne Stobart) が薬草を育てる秘訣を語っています。

 道を切り開く時、私たちは足元の地面に感謝しなければなりません。ですから、底流コーナーでは、泥炭のテーマ(生物多様性および、炭素貯蔵、人類の歴史についての泥炭の価値)を探ります。 ここ、岐路に立ち、私たち自身と生きている惑星の他のものとの間の大動脈を癒す必要があります。それは、自然観を再調整することを意味します。Peatlands Association(泥炭地協会)のサラ・プロクター (Sarah Proctor) が書いているように、私たちは「未知の荒涼とした風景を親しみやすく、評価の高い生息地に変える」必要があります。

 親愛なる (dear) 鹿 (deer)の友達の助けを少々借りれば、一緒に出来るかもしれません。

マリアン・ブラウン は、リサージェンス&エコロジスト誌の編集者です。

globalclimatestrike.net

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リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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