極限状態における希望

翻訳:馬場 汐梨

コロナウイルスが引き続き蔓延していることは言うまでもなく、北極圏の火事からアマゾンの熱帯雨林の破壊まで、今朝ソーシャルメディアをスクロールした時、世界はとても冷酷に見えました。すると私のフィードに別のニュースが一つ上がってきました。そのレポートによると、デイノコッカス・ラディオデュランスというバクテリアを使ってワクチンを生成する方法は、COVID-19 のワクチン生産のスピードアップに貢献しうるそうです。

 D.ラディオデュランスは特殊です。それは、原子炉の炉心など最も住み難いところで生存できる卓越した能力から、好極限性バクテリアに分別されています。宇宙の真空でも生存できます。好極限性細菌には他に、クマムシ(water bear や moss piglet という可愛らしい別名を持つ小さな無脊椎動物)や、塩湖に住むエビの一種のアルテミア(シーモンキーとも呼ばれる)が含まれています。

 これらの生き物の住処を極限と定義することはもちろん、人間中心的です。自分たちをすべての中心に置くこの傾向は、生きている地球の他の万物との断絶の根本にあるものですし、今日私たちの存在を脅かしている環境危機につながっています。しかし、俗にいうように、命があるところに希望はあります。もし原子炉の炉心で生命が繁栄するのであれば、私たちにもまだ希望はあります。

(中略)

 週の始めに学校のチャイムが鳴ると、私たちは教室に向かい、コロナウイルスの時代の教育を特別に検討します。そして問います。過去数ヶ月の危機は未来への重要なレッスンを与えてくれるでしょうか?D.ラディオデュランスの生存が教えてくれるように、最も暗い場所にでも希望はあります。

マリアン・ブラウン は、リサージェンス&エコロジスト誌の編集者です。

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リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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